2022年1月23日日曜日

【第二弾】システム英単語Basicカバー率調査

 


こんにちは、皆さん。ゴリラ教育研究所です。

先日、「【システム英単語Basicの力】英単語カバー率調査をやってみた」ということで、『システム英単語Basic』(駿台文庫)に収録されている単語で大学入試の英語長文がどれだけ読めるのか実証してみました。

前回のブログはこちら→ゴリラ教育研究所🦍: 【システム英単語Basicの力】英単語カバー率調査をやってみた (gori-manabilab.blogspot.com)


今回はその第二弾になります。


1.調査について

こちらの内容は前回と同じになります。前回の記事をお読みいただいた方は、飛ばしてもらって構いません。

①使用する単語集:『システム英単語Basic』(5訂版)

 注)『システム英単語』の第1・2章(1~1200)に対応しています。

②調査対象:同志社大学・東洋大学・法政大学の各一般入試問題

 →それぞれ長文問題から一題抜粋し、その長文中の単語が『システム英単語Basic』に収録されているかどうかを調べています。

③調査のルール

・『システム英単語Basic』に収録されている単語で「カバー率」を算出する。収録されているかどうかは索引に掲載されているかで判断することとする。

・未収録の単語のうち、長文中の固有名詞・明確に中学内容の単語(houseなど)や前置詞(duringなど)は、大学受験用の単語集を使って覚える単語ではないので、これらの単語は実質的に『システム英単語Basic』を覚えられた受験生では判断できると考え、これらの単語も覚えている単語とみなして「実質カバー率」を算出する。

・収録されていない単語のうち、『システム英単語』の第3章以降に収録されている単語と、全く収録されていない単語のそれぞれの割合を出し、『システム英単語Basic』をやり切った後に『システム英単語』を覚える必要性があるかを確認する。

注)ここでの「収録」は、見出し語以外の派生語など「単語集の中に書かれていること」を意味する。

・手計算で数えていて多少の誤差はあるかもしれませんので、その旨ご了承ください。

★それぞれの問題を調査した時の写真を添付しています。色分けは下記のとおりです。

黄色の蛍光ペン→『システム英単語Basic』に収録されている

 注)下線のみ引いてある単語は、見出し語以外での収録

ピンクの蛍光ペン→『システム英単語』の第3~4章に収録されている

紫の蛍光ペン→収録されていない

薄緑の蛍光ペン→注釈がついている


2.同志社大学

①調査した問題:2021年度一般入試2/5実施分、大問1

②調査データ

 ・語彙数:940words

 ・カバー率:20.7%(195words)

 ・実質カバー率:95.3%

 ・『システム英単語』にしか収録されていない単語数:17語

 ・『システム英単語』にも収録されていない単語:27語(2.9%)

③所感

関関同立の中では最も難易度が高いといわれる同志社大学の問題であるが、単語の出題レベル的には『システム英単語Basic』で十分対応できるレベルであるといえる。設問で用いられている語彙は今回調査対象外としているが、私が視認した限りではこちらも『システム英単語Basic』で戦える問題である。同志社大学の問題の特徴として「下線部の意味・内容にもっとも近いものを次の1~4の中からそれぞれ一つ選びなさい」という問題が多いが、この問題を「単語を知っていれば解ける」と見るのはいささか分析が未熟であろう。下線部の意味が分からなければ前後の文脈から推測しないといけない。むろん、選択肢の単語の意味が分からなければできないので、そちらは覚えておく必要がある。


内容的に高度であるが故、語注が多いので適宜参照しながら読み進めるのがポイントになる。なお、例年大問1・2が長文読解で、大問3が会話文である。時間配分を誤ってしまうと致命的になるので、解く順番をあらかじめ決めておくのも一案である。また、最初の数文で長文内容が苦手な内容と感じた時には、他の大問から解くといった柔軟な対応をすることも考えてもいいかもしれない。


3.東洋大学

①調査した問題:2021年度一般入試2/1実施分、大問Ⅱ

②調査データ

 ・語彙数:570words

 ・カバー率:18.8%(107words)

 ・実質カバー率:97.5%

 ・『システム英単語』にしか収録されていない単語数:3語

 ・『システム英単語』にも収録されていない単語:11語(1.9%)

③所感

『システム英単語Basic』で十分に対応できるレベルである。収録されていない単語でも「simple-minded」のようにそれぞれの単語の意味が分かれば推測が容易であるものや、「untrained」「non-abstract」のようにun-やnon-などの接頭語の知識があれば対応ができるものがほとんどである(しかもabstractは語注が付いている!)。ここからわかるように『システム英単語』までやってしまうのは完全にオーバーワークになる。MARCHや関関同立志望者が東洋大学の問題を解いて語彙不足を感じる場合は、早急に『システム英単語Basic』レベルの語彙強化をしなければならない。


東洋大学の場合は大問Ⅰ・Ⅱが長文読解で、大問Ⅲ以降は比較的時間のかからない設問になっている。問題をいきなり解き始めるのではなく、問題全体に目を通していれば大問Ⅲ以降のほうが時間のかからない問題ということが分かるだろう。したがって、大問Ⅰ・Ⅱから解き始めて「時間が足らなかった」となってしまうのは作戦ミスになる。もちろん、試験本番で順番が変わることも考えれるが、冷静に文法問題から解き始める判断ができるようになってほしいところ。


4.法政大学

①調査した問題:2021年度一般入試2/5実施分、大問Ⅱ

②調査データ

 ・語彙数:568words

 ・カバー率:18.8%(124words)

 ・実質カバー率:94.7%

 ・『システム英単語』にしか収録されていない単語数:11語

 ・『システム英単語』にも収録されていない単語:19語(3.3%)

③所感

ついに本調査初のMARCHが登場。だが、法政大学の英語長文も『システム英単語Basic』で対応できるレベルだといえるだろう。収録されていない単語の中でも「market」関連が多かった。他にも「catalogues」「pressure」など日本語でもなじみのある単語が未収録として計上されているが、このレベルの長文読解の学習を進めていれば意味は分かって当然な単語である。そう考えると、語彙レベルで苦戦するような文章ではない。内容がジェンダー論で近年頻出のテーマであり、非常に読みやすい内容である。本文冒頭に「Children's Toys:Against Pink and Blue Branding」というタイトルがついているが、これを見ただけで本文のおおよその内容は推測できていてほしい(もちろん、それに囚われすぎてはならない)。英語長文だけではなく現代文においても論じられる内容であり、それぞれで背景知識まで学ぶ学習ができていれば、この大問は「お買い得」問題になるだろう。


試験時間が90分で長いため、集中力を切らさず読み進められるかどうかがポイントになるだろう。ずっと長文読解をし続けるのが辛い人は、文法問題を読解大問の間に解くのが一種の気分転換になるかもしれない。


5.まとめ

前回も述べたが、本調査はあくまで入試問題の中の一部分が対象であることは気を付けておく必要があります。他の大問や文法問題が出題されるケースは別個に考えておくほうがいいでしょう。ですが、同志社大学・東洋大学・法政大学の入試長文問題を読み進めるには『システム英単語Basic』で十分対応できるといえるでしょう。


言い換えれば、『システム英単語Basic』を完璧に仕上げているのにこれらの長文問題を読んでも内容が理解できないのであれば、それは単語力に問題があるのではありません。特に難しい熟語が出題されているわけでもないので、熟語に関しても考慮する必要はないでしょう。つまり、考えられる原因としては、

・前後の文脈から判断すべき単語を「知らない」から読めないと思っている (→推測する練習をしましょう)

・一文一文の構造がつかめていない (→構文・英文解釈力の強化が必要)

・段落ごとの意味がつかめていない (→長文読解力の強化が必要)

・内容の読み取りはできるが、問題が解けない (→演習量を増やそう)

など、単語力以外にあると考えるのが適当です。


また、法政大学のパートで述べたが、日ごろの長文読解の学習において、背景知識について知っておくことは有用であろう。特に難易度が高い大学の入試問題になればなるほど、英語長文で論じられるテーマが学術的になったり、抽象的な英文になったりすることが多い。最新のトレンドを扱う参考書も出版されています(例:『英語長文問題Solution』シリーズ)ので、過去問の前後にやり込みんでおき、どんなテーマが出題されても「このテーマ知ってる~♪」と思えるだけの勉強をして、入試当日を迎えられるようにしておきましょう。


もし高校2年生でお読みの方がいらっしゃれば、志望校の過去問で出題単語レベル調査を実際にやってみると、いかに単語集一冊を仕上げることが重要かが実感できると思うので、お試しくださいね。


最後までお読みいただき、ありがとうございました🦍


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