2022年6月6日月曜日

🔰最初に手に取る参考書vol.3~英文解釈編~

こんにちは、皆さん。

投稿の更新ペースが遅すぎて存在が忘れられているであろうゴリラです。 


さあ、何も気にせず「最初に手に取る参考書」シリーズの第三弾いきますよ!

(第一弾:文法、第二弾:単語もよかったら見てね)

このシリーズのコンセプトは、勉強は苦手だけど受験勉強を始めたいと思っている人が最初に取り組むのにおすすめな参考書を紹介すること、です。


0.「英文解釈」とは

まず前提として「英文解釈」について簡単に述べます。
英文解釈(精読ともいいます)は、英文構造を正確にとらえ、一文一文を正しい意味で読み取ることを言います。これを行おうとすると、①単語力・②文法力が必要になります。
そのため、「英文解釈」の勉強を始める前に、単語・文法の基礎は固めた状態でないといけません。(このシリーズの第一弾や第二弾で紹介している参考書にまずは取り組みましょう)

そして、この「英文解釈」が長文問題で点数を取るカギになります。というのも、一文ごとの意味が正確に取れない状態で長文読解の演習を積んだところで、フィーリング読解になってしまい、再現性がなくなります。また、主に国公立大学で出題される英文和訳問題は、一文ごとの精読力を問うものですから、当然ながら「英文解釈」が重要になります。もちろん、大学入試の英語では長文読解が中心ですから「英文解釈を制する者が受験英語を制する」といっても過言ではないのです。

そんな「英文解釈」に関して、1点よく言われることがあります。それは「私の志望校には和訳問題が出題されないから別に和訳なんて必要ない」というものです。これははっきり言いますが、和訳問題が必要ないからといって英文解釈をやらないのは言語道断です。一度ご自身の志望校の過去問の英文を見てみてください。パッと見て英文構造が”瞬時に”判断できますか?ほとんど全員ができないでしょう。「時間があれば…」などは言い訳ね。
ちょっと厳しいことを言いましたが、それだけ英文解釈が大事ということなのです。

1.「英文解釈」を学ぶ前に

では、具体的な勉強法について話していきましょう。

「英文解釈」の勉強を始める前に、最低限勉強しておくべきことが2点。一つは英単語で、基礎的な単語集を一冊終えた状態であることが重要です。(基礎的な単語集については本ブログ過去記事参照)もう一点は英文法で、品詞や文型に関しては理解しておくことが重要です。

ここでクイズをしてみましょう。次の用語の意味がスラスラ言えるのが最低条件です。もし言えない、あるいは自信がない人は英文法の復習が優先ですからね。

Q1:形容詞、副詞の働きを答えてください。
Q2:分詞(現在分詞と過去分詞)の区別方法を答えてください。
Q3:英語の文型をすべて答えましょう。OとCとは何か説明してください。

上のクイズは余裕でしたか?
答えられたと信じて、具体的な方法についてお話していきますね。

2.「英文解釈」の勉強法

「英文解釈」の参考書を手元に置きながら、以下を読んでください。高校の教科書でも構いません。

① 構造分析をしましょう
・参考書に直接記入してしまうと繰り返し行うことができなくなるので、英文をノートに写 すか、コピーを取ってそちらに書き込みましょう。
・つける印の例
 SVOC、名詞句・節:[  ]、形容詞句・節:(  )、
 副詞句・節:〈   〉、接続詞:□ 

② 構造分析をした通りに和訳をしましょう!
直訳でOKです。「きれいな日本語」なんてものにしようとしないでください。
・意味の分からない英単語には蛍光ペンを引いておきましょう。ただし、この時点で辞書を引くことは控えましょう。前後の文から予測する練習をするのです。

③ 「解答・解説」を熟読し、自分でした構造分析が正しいか確認する
・この時に解答の和訳と、自分でした和訳を見比べて、どう違うのかを解説から考えましょう。
・解説の通りに英文構造を自力で説明できる状態になりましょう。文法事項で不安な点は「Evergreen」「デュアルスコープ」などの文法系参考書で必ず調べること。
・このタイミングで、和訳時に意味の分からなかった単語は辞書で調べておきましょう。

④ 再度何の印もついていない参考書の英文を見て音読をしましょう
音読しながら、意味がパッと浮かぶ状態になるのが理想です。最低でも3回は音読してみましょう。スピードはゆっくりでOKです。音声が聞ける参考書の場合、音声を聞いたうえで音読するのがいいですね。

ここまでできれば十分でしょう!
「英文解釈」を行うときのノートの例の写真を付けておくので参考にしてください。
(あくまで一例です)



3.「英文解釈」の参考書

さあ、いよいよ本題です。具体的な参考書について紹介していきます。
これまで同様、

①それぞれの参考書のデータを★(5段階)で示します。

・英文レベル:★が多いほど、高難度

・情報量:★が多いほど、解説が豊富

おすすめ度:★が多いほど、初心者🔰におススメです。

※★の数が多いからいい参考書というわけではありません!人によって変わります!

②それぞれの参考書のおすすめポイント

③ゴリラの一言

という形で紹介していきます!


3-1 『英文読解入門10題ドリル』(駿台文庫)



①参考書データ:★(5段階)

・英文レベル:★★

・情報量:★★★

・おススメ度:★★★★★


②それぞれの参考書のおすすめポイント

一文が短く、単語の注釈も多いため「単語が分からないから進まない」なんてことにはならない。一ページ当たりの問題数も多くなく、本自体も薄いので、英語が苦手な人が英文解釈を始めるにはピッタリの一冊。SVを中心とした英文構造の把握を重点的に学べるのもおススメの理由。和訳の解答も直訳で書かれていて、「なんでそういう訳になるの?」と困ることはない。

ただし、文法項目の解説が豊富というわけではないので、必要に応じて文法系参考書を使って調べる必要がある。


③ゴリラの一言

レベル的にも分量的にも、英文解釈入門の一冊目としてとにかくおススメ。強いて弱点をあげるならば、「EXERCISE B」・「総合問題」のページの単語の注は、ページの下部に書かれているので、参考書学習に不慣れな人は見落とすかもしれないことくらい。(いや、見て!)

迷ったら『英文読解入門10題ドリル』で決まりですね🦍


3-2 『高校の英文読解が1冊でしっかりわかる本』(かんき出版)



①参考書データ:★(5段階)

・英文レベル:★

・情報量:★★★

・おススメ度:★★★


②それぞれの参考書のおすすめポイント

問題になっている文は極めて短文で、英文解釈初学者にとっては取り組みやすい。また、用いられている単語も大半は中学校レベルであり、単語で苦しむことなく学習を進められる。丁寧に解説が記載されており、一つ一つを理解しながら進められる。

どの参考書にも言えるが、「本書の使い方」のページをよく読まないと構成を把握しづらい面がある。一番初めのLessonが「名詞構文」で、次が「因果関係」となっているが、こういう用語が最初に来ると難しく感じてしまう人が多いのがやや難点。


③ゴリラの一言

レベル的には平易なので、中学生が英検2級を目指す際に英文解釈の学習書として用いると効果を発揮する可能性が高い。ただ、取り組む順番は、指導者と相談しながら柔軟にして取り組むほうがいいかもしれない。「SVの発見→基本文型→句と節」の順で進めたうえで、残りを行うほうが好ましいというのが私見である。


3-3 『肘井学の読解のための英文法 必修編』(KADOKAWA)



①参考書データ:★(5段階)

・英文レベル:★★★

・情報量:★★★★

・おススメ度:★★★★


②それぞれの参考書のおすすめポイント

英文自体は中学レベルの単語で書かれており、取り組みやすい。修飾部がどこにかかる(どの部分を修飾する)のかが書かれているのがポイント。識別についての解説が書かれているのは、今後の読解学習へつながる部分となる。文法項目に関しては、文法系参考書で調べながら進める必要がある。

英文中にそれぞれの文のポイント部分が太い赤字になっていて、何を学ぶ文なのか判断しやすいのが特徴。半面、自力でポイント部分を見抜くことなく太字に頼ってしまう懸念がある。


③ゴリラの一言

巻末の「各テーマの例題一覧」は英作文の初学の際に役立つでしょう。「復文」(日本語⇔英語を繰り返す)で進めるといい。


3-4 『英文読解入門 基本はここだ!』(代々木ライブラリー)



①参考書データ:★(5段階)

・英文レベル:★★

・情報量:★★★★★

・おススメ度:★★


②それぞれの参考書のおすすめポイント

例題として出題されている英文で用いられている語彙レベルは中学レベルであり、短文であることから難易度としては取り組みやすい。それぞれの文に対しての解説が充実しており、この解説を理解して自力で再現できるようになれば相当な力になる。

難点としては、解説が非常に硬派であるため、このレベルの学習者にとっては解説を読むことが難しい。昔ながらの参考書という感じで、ビジュアル性が求められる最近の参考書のトレンドとはやや離れてしまっている。


③ゴリラの一言

内容としては申し分ないという一言に尽きる。扱われている英文のレベルに対して、解説の濃密さでは他の参考書を圧倒している。その分、挫折する可能性も高い。取り組み始めて「この解説は難しいなあ…」と感じた場合は、他の参考書へ変える判断は早めに行うほうがよい。


3-5 『入門英文解釈の技術70』(桐原書店)



①参考書データ:★(5段階)

・英文レベル:★★★★

・情報量:★★★★★

・おススメ度:★★★★


②それぞれの参考書のおすすめポイント

一つずつのテーマに対する例題(2~4行の英文)がある。解説は非常に丁寧で、テーマが明快であるので何を重視して解説を読めばいいかがはっきりする。「構文図解」という形で英文解釈も書かれている。CDが付いているので音声を聞いたり音読したりすることができる。

ただ、解答例の和訳がやや意訳になっている部分があるので、自分で書いた和訳が正解(減点されない)であるかを判断できない場合は、信頼できる人に添削してもらうといい。


③ゴリラの一言

「入門」が難しくなる感じる場合は「超入門」のレベルがある。「入門」が難しく感じる場合は、「超入門」から始めてもよい。なお、「基礎」もあるが、こちらはかなりレベルが高いため、初学者が「基礎」から始めるのはおススメしない。


3-6 『英文和訳演習 入門編』(駿台文庫)



①参考書データ:★(5段階)

・英文レベル:★★★★

・情報量:★★★★

・おススメ度:★


②それぞれの参考書のおすすめポイント

言わずと知れた伊藤和夫先生の名著。1つのパラグラフに対して下線部が2~3か所引かれており、その部分を和訳する形となる。下線部以外の解説もかなり重厚であり「どうしてその解釈を取るのか」を認識できる一冊。減点されない和訳答案を作る力が付く。

この参考書の危険ポイントは、伊藤和夫先生の解説口調がかなりキツイ言い方がなされていて、心が折れる危険性がある。また、全文和訳ではなく「大意」となっていて、かなり大胆な意訳となっているので使い方には非常に気を付けないといけない。


③ゴリラの一言

上記にもあるように、和訳答案の作成には非常に力になる一冊であり、和訳問題が出題される国公立大学志望者が過去問演習期に「英文和訳」の実力を付けるとともに自己採点力を上げるために使用するのが望ましい。

初学者にとっては、英文解釈の解答が書かれていないため、使用は勧めない。


3-7 『入門英文問題精講』(旺文社)



①参考書データ:★(5段階)

・英文レベル:★★★★★

・情報量:★★★★★

・おススメ度:★★


②それぞれの参考書のおすすめポイント

入試問題レベルの英文解釈に取り組むための「入門」書。間違っても英文解釈を一から勉強する人が取り組むべきものではない。「入門」という言葉に惑わされないこと。

辛辣なことを書いたが、本書の内容は本当に充実している。前文の英文解釈はもちろんのこと、それぞれの英文で重要なポイントが3~4点ピックアップされて解説されている。関連する単元が書かれており、文法書等で調べる際にやりやすい。


③ゴリラの一言

3-1~3-4で挙げたいずれかの英文解釈入門書に取り組んだのちに着手するのがベストなタイミング。『入門英文解釈の技術70』と同様、こちらのシリーズにも『基礎英文問題精講』があるが、難関大学レベルであるため、本書を完成させたのちに取り組むべきである。(入門英文解釈70を使った人は基礎英文解釈100へ移行するほうが解説の一貫性がある)


4.まとめ~「英文解釈」を極めよ!~

昨今の大学入試英語では、共通テストに代表されるように「速読力」が求められ、英文解釈で行う「精読力」はやや軽視されているがのように見る向きもある。しかし、一文ずつを丁寧に読めるようになって初めて、まとまった英語長文を読む力を付ける土台ができる。

例えるならば、英文解釈(精読)は、野球でいうなら素振り・サッカーならパス・バレーボールならオーバートスとアンダートス・音楽なら楽譜の読み取り・演劇なら発声練習…など、基礎に当たるものだということが伝わると嬉しいです。

今回紹介したのは、あくまでも初学者が取り組むのにおすすめの参考書です。これらの参考書で実力を付けたのちには、更なるレベルの英文解釈へ取り組むことを推奨します。もちろん、志望校のレベルによっては長文読解に取り組むこともあるでしょう。このあたりの判断は、ぜひプロの方の意見を参考にしてもらいたいと思います。


最後に繰り返します。
「英文解釈を制する者が受験英語を制する」
では皆さん、頑張ってくださいね🦍


【補遺:クイズの答え】
Q1:形容詞、副詞の働きを答えてください。
→形容詞は「名詞を修飾する」もので、副詞は「名詞以外を修飾する」。
Q2:分詞(現在分詞と過去分詞)の区別方法を答えてください。
→現在分詞は「~している」の意味で、過去分詞は「~される」の意味。
Q3:英語の文型をすべて答えましょう。OとCとは何か説明してください。
→文型に関しては割愛。Oは目的語、Cは補語。(それぞれの意味は調べてください)

2022年2月21日月曜日

【単語集紹介編】🔰最初に手に取る参考書vol.2~英単語編~

 こんにちは、みなさん。ゴリラ教育研究所です。

更新が完全にマイペースですね…


さて、以前に「🔰最初に手に取る参考書vol.2~英単語編~」ということで、英単語の学習法についてお話しさせてもらいました。今回は「英語が嫌い!」という高校生が最初に始めるのにおすすめの単語集をご紹介していきます。


今回ももちろん「苦手な人目線」で単語集について語っていきたいと思います。

【単語集紹介パートの説明】

①それぞれの単語集のデータを★(5段階)で示します。

・収録単語レベル:★が多いほど、高難度

・情報量:★が多いほど、単語についての情報が多い

おすすめ度:★が多いほど、初心者🔰におススメです。

※★の数が多いからいい参考書というわけではありません!人によって変わります!

②それぞれの参考書のおすすめポイント

③ゴリラの一言

④最初の10個の単語:それぞれの単語集の最初の10個を記載します。各単語集のレベル感の参考にしてください。この10個中、5個以上分からない場合は中学校レベルの単語集から勉強するほうがいいかもしれません。


1.システム英単語Basic


①単語集データ(★~★★★★★で表します)

・収録単語レベル:★★★★

・情報量:★★★★

・おすすめ度:★★★


②おすすめポイント

あの『システム英単語』の基本版で、この一冊をやり切れれば日東駒専や産近甲龍レベルはもちろん、関関同立の英文にも対応可能になります。品詞ごとに分かれており、英文読解のために特に重要である動詞を優先的に勉強することが可能です。「ミニマルフレーズ」として挙げられている例文は非常に短いため、単語の勉強に集中できます。単語と一緒に使われやすい前置詞の勉強も同時に行うことができます。また、最もよく使われる形で収録されているのがシステム英単語最大の特徴です。多義語がまとめられたパートがあるのも優れた点です。

注意点としては、前置詞や接続詞があまり収録されていないため、別に文法問題集等で覚える必要があることです。amongやthoughといった単語の意味がパッと出てこない人は気を付けておきましょう。(特にこれらの単語の意味を知らない場合、長文読解で苦労することになります。)


③ゴリラの一言

私には「ミニマルフレーズ」を何度も繰り返すやり方が合っていました。このあたりは個人差があるので、好き嫌いで判断してください。

1236の例文「energy to sustain life」(生命を維持するエネルギー)を見て、「エネゴリくん」が頭に浮かんだのは私だけでしょうね🦍。


④最初の10個の単語

help, try, hold, grow, let, seem, enjoy, create, choose, spend


2.ターゲット1400


①単語集データ(★~★★★★★で表します)

・収録単語レベル:★★★★

・情報量:★★★★★

・おすすめ度:★★


②おすすめポイント

『ターゲット1900』の姉妹本です。もう一段階レベルの低いものとして『ターゲット1200』というものもあります。ターゲットシリーズ最大の利点は、1つの単語に対する意味が基本的に1つである(一語一義)ことです。たくさん意味が書かれていたら「全部覚えないといけない…」と感じてしまいますよね。ですが、ターゲットではその心配はありません。また、100個ずつにsectionが分けられているので、達成感を感じやすいのもいいですね。単語の語法(使い方)や対義語、派生語も掲載されているので、一語一義を覚えた後にはターゲット一冊でさらに英語力を伸ばすことができる点も魅力的です。


注意点としては、書かれている例文の内容がやや難しいことです。例を挙げると、18番目のdevelopでは「 The company developed a new automation system.」とあります。この時点で「automation」はちょっと厳しいでしょうね。ひょっとすると「company」も分からないかもしれません。


③ゴリラの一言

例文の中に「A suspect has a legal right to remain silent.」(容疑者には黙秘する正当な権利がある。)というものがあったが、法学部出身者としてはテンションがありますね。黙秘権は氏名・年齢等にも及びますので、万が一にも逮捕されたときには氏名は言わなくてもいいです(より疑われるかもしれませんけど)。細かい突っ込みを入れると、法律的には「容疑者」と言わずに「被疑者」(疑いをかけられた人)という言い方をします。


④最初の10個の単語

believe, consider, expect, decide, allow, remember, worry, concern, suggest, explain


3.LEAP basic


①単語集データ(★~★★★★★で表します)

・収録単語レベル:★★

・情報量:★★★★

・おすすめ度:★★★★★


②おすすめポイント

駿台の人気講師である竹岡広信先生による単語集の入門編です。語源や発音のコツ、頻出表現も書かれているので、ただ英単語の勉強をするだけにとどまらない学習が可能です。単語がテーマごとに収録されているので、初学者にとっては学習を進めやすい面があります。また、単語には発音記号だけではなくカタカナで読み方が書いてあるので、発音記号が分からない人でも口に出しながら単語学習ができるのでおススメです。例文がとてもシンプルでかつ、身近なテーマが多く、非常にイメージしやすいのも優れた点です。


③ゴリラの一言

この単語集は2020年の出版ですが、私が高校生の時にあったならば、間違いなくこちらを選んでいたと思います。やはり、英語苦手族にとっては「カタカナでの発音表記」はめちゃくちゃありがたいのです。例文で「go to a hot spring on weekends」(週末に温泉に行く)とか最高すぎます(笑)


④最初の10個の単語

a, the, something, someone, oneself, speak, talk, say, tell 人 about, tell 人 SV


4.Stock3000


①単語集データ(★~★★★★★で表します)

・収録単語レベル:★★★

・情報量:★★

・おすすめ度:★★★★


②おすすめポイント

スタディサプリの人気講師である関正生先生による英単語集です。英単語・意味がシンプルに記載されているので、情報過多にならないのがいいですね。例文も非常にシンプルです。それでいて、各単語に関先生のコメントが書かれており、「英単語→日本語訳」の丸暗記を避けられるのが本書最大のメリットでしょう。「最新入試のさらにその先」を見据えるというコンセプトのもと、今後の大学入試でより出題されるであろう語彙が収録されているのも、他の単語集とは違っている点です。毎年最新テーマの長文を出題してくる大学を受験するのであれば、おすすめの単語集になりますね。


③ゴリラの一言

例文の中に「I rarely eat ramen.」(私はめったにラーメンを食べない)というものがありますが、「うそだぁ~!」と心の中でツッコミました。こういうツッコミを楽しめるのも、この単語集の魅力の一つかもしれませんね。


④最初の10個の単語

lie, lay, lie, rise, raise, grow, bring, exist, participate, evolve


5.まとめ

単語集にはそれぞれ一長一短があります。今回取り上げていない単語集にも、きっと良い単語集があるでしょう。学校でやっている単語集が一番使いやすいと感じる人もいるでしょう。


どんな単語集を使っていたとしても、まずは一冊を完全な状態に仕上げることから始めてください。具体的に言うと、その単語集の中の英単語であれば「すべて2秒以内で意味が言える」状態を目指しましょう。


目指す大学によっては、2冊目の単語集が必要になることがあります。その時にどの単語集を選ぶべきかは判断が難しいため、必ず信用できる英語の先生に相談してくださいね。


最後までお読みいただき、ありがとうございました。

次回がいつになるかわかりませんが、読解の基礎となる精読(英文解釈)を取り上げる予定ですので、お楽しみに!

2022年2月10日木曜日

受験生になるゴリラへ

 


※今回のブログは、2022年2月11日の私が、いよいよ高校3年生になる当時の私に向けての「手紙」という形になります。これから受験を迎えるという人は「参考」にしてください。自分宛に書いているので、所々口が悪いです。その点を踏まえてご覧ください。※



受験まであと一年よ。

のんきにしてたらあっという間に終わるで。

今から注意しておくべきことを教えてあげるから、ちゃんと守るんやぞ。守らんと受験失敗しても文句言うなよ。分かったな?


① 勉強する科目のバランスを取れ

いくら社会系科目が好きやからといって、日本史と政治経済に時間をたらふく使うのはダメ。センター(当時)しか使わん科目よ?

国公立目指すんなら、「英語・数学・国語」が第一。絶対に。特に英語。

それから、参考書のレベルが難しいと思ったら「こんな簡単なレベルやらんでいいわ」と感じるレベルから完璧にすることや。お前は高校受験の時から必要以上に難しい本を選びがちや。レベルのあってない本やっても無駄やぞ。2軍選手からホームラン打たれへんバッターが1軍でホームラン打てるわけないやろ?それと一緒。とにかく基礎基本に立ち返るんや。


② 苦手から逃げるな

英単語覚えるのが嫌やからって『システム英単語』の第2章まですら完璧にできてないくせに大学受験成功するとか甘いぞ。根気強くやらんかい。英語の勉強の基礎は英単語。何度も繰り返して日本語の意味が即答できるまで徹底する。いいな?

数学が嫌いやからって『青チャート』から逃げるな!まずは基本例題だけでいいから一周する。これで楽になるやろ?どうしても無理なら、もっと簡単な参考書を探すんや。

古文が嫌いやから古文単語覚えへんとか論外よ。毎回カンで内容考えたって、問題は解かれへんの。足引っ張るぞ~痛い目見るぞ~

現代文も解答根拠をしっかり追えよ。感覚で解くな。


③ 年間スケジュールを考えろ

やみくもにやっても無駄や。7月までに基礎の完成(英単語・古文単語・数学の基本例題)を極めるんや。夏休みに長文読解や演習問題に挑戦する計画を立てる。秋ごろには2次試験レベルの問題をガンガン解くんや。12月になったらセンター過去問をひたすらやり込む。85%は最低でも目指せる。狙うんや。


④ 自信もっていいこともあるぞ

地学のセンター試験過去問をやりまくる作戦は十分通用する20年分解くんや。ええぞ。センター90点以上の世界が待ってるぞ。日本史も政治経済も時間をかけすぎない程度に今のまま勉強を続けたらいける!いけるんだ!

地味に英語の英文解釈(いつもやってるSVOC付けることや)はできてる。自信持て。いずれセンター過去問でも余裕で時間が余るときの原動力になる。英文法も『デュアルスコープ』(注:文法参考書)を一冊やり込んだ効果がじわじわ出てくる。それから、教科書の音読とCDのシャドーイング、嫌いやと思うけど、続けるんや。せっかく一年続けたのに、受験で他の勉強を優先するからってやめるんじゃないぞ!


⑤ 腰痛は治れへん

痛いと思う。すげー痛いと思う。でもな、残念ながら治れへん。最終的には手術することになる。周りとはハンデになってしまうけど、この逆境を乗り越えるんや。


⑥ 私立大学は最低1つは受けておけ

意地張って「国公立一校しか受けへん」とかして、落ちてもしらんぞ。浪人するぞ。それでもいいんやったら別に構わへんけど。ただ、1年勉強やってきたのに何一つとして合格を得られへんかった時の絶望感は半端じゃないぞ。覚悟しておくんやな。


⑦ センターリサーチで調子乗るな

センターリサーチ(注:共通テスト後に自己採点結果を入力すると模試のように合格可能性が判定される)で「B」取ったからって、油断して映画見に行ったり、おしゃべりしてたりしてたら、足元すくわれるで。試験終了まで気を抜かず、勉強するんや。お遊びはそれから。


⑧ 入試終了後、日本がとんでもないことになる

いいか、よく覚えておけ。2011年3月11日、日本がとんでもないことに見舞われる。

お前はそれに対して何ができるんだ?

受験落ちてしまったら何もできへんぞ。ただ指をくわえてじっとする他にない。

合格さえしていたら、調査研究だって、ボランティアだってできる。


この一年は勝負なんや。限界超えてまで勉強することなんてないけど、限界ぎりぎりまでやってうまくいくかどうかという世界や。少なくともお前の今の甘ったれた認識では、一年後泣くぞ。

分かったら今すぐにでも、勉強しろ。

「正しいことをしたければ、偉くなれ」。そういうことや。



~編集後記~

リアルに過去の自分にこう言うだろうな~と想像しながら書いてみました。何事も経験してみないとわからない面はありますので、まだ受験を経験したことのない人にこの気持ちは理解できないかもしれません。ただ、私と同じ失敗はしてほしくないなあ。歴史は過去の失敗からの教訓のためにあるとするならば、これも一つの歴史だろう。

2022年2月1日火曜日

【勉強法編】🔰最初に手に取る参考書vol.2~英単語編~

突然ですが、英単語を覚えるのが好きですか?


私は大の苦手です! (←ドヤることじゃない)

高校の英単語テストはほぼ毎回勉強せずに挑み、10点中3点とか取っていました(笑)

今回はそんな私の天敵である英単語を取り上げてみたいと思います。


いよいよ「最初に手に取る参考書」を紹介するシリーズの第二弾です。

(第一弾はこちら→ゴリラ教育研究所🦍: 【勉強初心者🔰に贈る】最初に手に取る参考書vol.1~英文法編~ (gori-manabilab.blogspot.com))

このシリーズのコンセプトは、勉強は苦手だけど受験勉強を始めたいと思っている人が最初に取り組むのにおすすめな参考書を紹介すること、です。

それにしても、第一弾からずいぶん時間があいてしまいましたね…

ま、気にせず始めていきましょう🦍!


0.はじめる前に

英単語集は多くの場合、学校で購入するものを一つ持っていると思います。「どうしても見た目が気に入らない!」とか「レベルが高くて1ページ目から難しく感じる」というのでなければ、学校で使っている単語集を用いるのがベターでしょう。その単語集の勉強が、学校の単語テストや定期テストの対策にもつながります。


ただ、学校で使用しているものが今の自分の実力や、志望校のレベルにあっていない場合は、別の単語集を用いるのが一つの作戦になります。

この記事では、市販の英単語集の中から有名なものをいくつか取り上げて比較検討してみますが、単語を覚えるのが苦手な人が単語集を選ぶときに見ておくといいポイントを先にいくつか挙げておきます


【単語集チェックポイント】

① 1つの英単語に対する意味が1つ(あるいは少ない)

 →いくつも意味があっては、全部覚えようとして「覚えられない!」となり、単語の勉強をあきらめてしまうことがあります。

② それぞれの英単語にカタカナで読み方が書いてある

 →発音しようと思っても、音声をダウンロード…とかめんどくさいですよね。「発音記号?何それおいしいの?」となる人が多いと思います。(※もちろん実際の音を聞いたほうが単語学習にとってはいいのですが、英語嫌いな人が最初からそこまでやるのはハードルが高いですよね。)

③ 例文が短い

 →せっかく例文があっても、長いと読む気がなくなりますよね。


1.はじめに~英単語の学習方法~

英単語の覚え方については、いろんな方が紹介されています。ですが、残念ながら「絶対にこの方法がいい!」という魔法の学習法は存在しません。あれば私も苦労しませんでした。それでも単語の勉強法を知らなければ、単語集を買っても勉強できません。そこで、まずは英単語の勉強法について書いていきますね。


既に勉強法を知っている方は「この方法がいいな!」と思ったやり方で1か月やってみてください。1か月やってもうまくいかなければ、別の方法を試してみるのもアリですね。間違っても3日で別の方法やるなどしてはいけませんよ。英単語の勉強は特に、継続することが重要です。まずは1か月同じ方法でやりましょう。


英単語の勉強法を知らない、あるいは、別の方法を知りたいという人のために私なりの英単語勉強法を紹介します。


【予習】「単語の意味が1つ言えるか」が重要!


① まず、意味が答えられる単語と分からない単語を分けましょう

→「単語を見て2秒以内に単語の意味が言えなかった単語」には□に✓を付けましょう。このとき、英単語の意味は1つ言えれば十分です。


② ✓が付かなかった単語の例文を見て、その例文が使われているシーンのイメージをします。その後、発音しながら3回空書きしましょう。もちろん、実際にノートに書いてもOKです。発音は電子辞書が読み上げてくれる機能が付いているはずなので、それを使うのがお手軽ですね。決してきれいな音でなくてもいいので、口に出してみるのがポイントです。(最初から完璧な発音を目指してしまうと、単語の意味より発音に意識がいってしまいます。)


③ 5分後、もう一度✓のついていない単語の意味が言えるか挑戦しましょう

→この段階で意味が言えなければ、□に●を付けましょう。(印を変えましょう!)

→意味が言えなかった単語は、再度②に戻り、これを繰り返します。二周目でも言えなかった単語には●2つ付けておくと、後で見たときにどれだけ苦戦したかが一目で分かります。

 

【復習】



① もう一度「単語を見て2秒以内に意味が言えるかどうか」に挑戦します。範囲の単語の意味は答えられるはずです。もし答えられなければ、大きな×を付けておきましょう。

→ここで、●と×の両方がついている単語は下の「復習ノートの例」の通りに、ノートを作成しましょう。できるだけ小さなサイズのメモ帳にしておくと、持ち歩きに便利です。


② 復習の時点では、単語の意味だけでなく、類義語や派生語、語法(どんな前置詞と一緒に使われるか)の確認をしましょう。この時点で語法を学習しておくと、のちのちに役立ちますよ。


③ 「復習ノート」を繰り返して、全部の単語を覚えられる状態になればOK!

 

〈復習ノートの例〉

・できるだけ簡単な例文にしておくのが重要です。

・覚えるべき単語には線を引くか、別の色で書いておきましょう。

※熟語の場合、二語とも線を引くか、別の色で書いておきましょう。



【学習ペースの設定】

単語学習を進めるにあたっての注意点は2つです。

① 一日にやりすぎないこと

そもそも英単語を覚えるのが苦手な人が、1日に50個やら100個進めるのはつらいですよね。まずは1日10個でもOKです。英単語の勉強に慣れてきたら徐々に増やしていき、1日で50個進めることをまずは目指しましょう。1日にやる単語数を減らしてもいいので、そのかわり毎日やりましょう。これは絶対です。

歯磨き、毎日しますよね?お風呂、毎日入りますよね?

単語も同じです。毎日の習慣にしてしまうのが一番です。


②「復習日」を必ず設定すること

人間は忘れる生き物です。「忘れるな」なんて無理です。なので、単語集を1回やったからとってすべて覚えているわけではありません。だからこそ、復習が重要なのです。

1日ごとのスケジュール例をあげてみましょう。

〈英単語集を1から始めるケース:1日30個ペース〉

2/1(火) 1~30までの「予習」

2/2(水) 31~60までの「予習」

2/3(木) 1~60までの「復習」

2/4(金) 61~90までの「予習」

2/5(土) 91~120までの「予習」

2/6(日) 61~120までの「復習」

2/7(月) 1~120全部の「復習」

このペースでやっても、1週間で120個の単語を覚えることができます。大学入試基礎レベルの英単語集であれば1500語くらいが収録されているので、12週間(=3か月)前後で終了できます。基礎レベルの単語集1冊を完璧に仕上げることができれば、共通テストや産近甲龍・日東駒専レベルに加え、関関同立の英語長文でも単語で苦しむことはほぼないといえます。(こちらについては過去の記事を見てね)


今回紹介した勉強法はあくまで「一例」ですので、これでないといけないわけではありません。ノートを書くなんて手間だという人もいるでしょうが、私は手を使わないと覚えられない人なので、こういう方法にたどり着きました。


では、本題の英単語集について話して…

と思ったのですが、つい英単語の勉強法で長くなってしまったので、今回はここまでにしたいと思います。単語集の紹介は次回改めて行いますので、少々お待ちいただけるとありがたいです。もし単語集紹介を期待してここまでお読みくださった方には申し訳ない思いでいっぱいです。


最後までお読みいただいた方、ありがとうございました。

また次回、お会いしましょう。さようなら~👋👋

2022年1月24日月曜日

各種テスト公開ページ(2022年1月31日更新)

 こちらは作成したテストへのリンク用ページです。

ご自由にお使いください。(最終更新日:2022年2月1日)


1.化学反応式テスト

https://docs.google.com/file/d/1STo9xG2rbVgNVMUiSoUVdYkKqdZncUXf/edit?usp=docslist_api&filetype=msexcel


2.日本国憲法穴埋めテスト

https://docs.google.com/file/d/13pvU59aWVWlsobUNhJW6OOBix5IyAc0C/edit?usp=docslist_api&filetype=msexcel


3.【大学受験用】日本史ランダム出題テスト(最新版)

日本史ランダムテスト(2022.1.31ver).xlsx - Google スプレッドシート

(随時更新の予定です)


4.【高校受験用】英単語テスト(英語→日本語、日本語→英語それぞれに対応)

https://docs.google.com/file/d/1jMyCfekMJ4G8yTDVMaw_BhtCfamRW419/edit?usp=docslist_api&filetype=msexcel


5.英語不規則変化動詞ランダムテスト

https://docs.google.com/file/d/1AaBTZltKchHUES4-oSYWCDkNbZdQdQ7D/edit?usp=docslist_api&filetype=msexcel


テスト利用に関するご質問はtwitterのDMあるいはメールにてからお願いいたします。


2022年1月23日日曜日

【第二弾】システム英単語Basicカバー率調査

 


こんにちは、皆さん。ゴリラ教育研究所です。

先日、「【システム英単語Basicの力】英単語カバー率調査をやってみた」ということで、『システム英単語Basic』(駿台文庫)に収録されている単語で大学入試の英語長文がどれだけ読めるのか実証してみました。

前回のブログはこちら→ゴリラ教育研究所🦍: 【システム英単語Basicの力】英単語カバー率調査をやってみた (gori-manabilab.blogspot.com)


今回はその第二弾になります。


1.調査について

こちらの内容は前回と同じになります。前回の記事をお読みいただいた方は、飛ばしてもらって構いません。

①使用する単語集:『システム英単語Basic』(5訂版)

 注)『システム英単語』の第1・2章(1~1200)に対応しています。

②調査対象:同志社大学・東洋大学・法政大学の各一般入試問題

 →それぞれ長文問題から一題抜粋し、その長文中の単語が『システム英単語Basic』に収録されているかどうかを調べています。

③調査のルール

・『システム英単語Basic』に収録されている単語で「カバー率」を算出する。収録されているかどうかは索引に掲載されているかで判断することとする。

・未収録の単語のうち、長文中の固有名詞・明確に中学内容の単語(houseなど)や前置詞(duringなど)は、大学受験用の単語集を使って覚える単語ではないので、これらの単語は実質的に『システム英単語Basic』を覚えられた受験生では判断できると考え、これらの単語も覚えている単語とみなして「実質カバー率」を算出する。

・収録されていない単語のうち、『システム英単語』の第3章以降に収録されている単語と、全く収録されていない単語のそれぞれの割合を出し、『システム英単語Basic』をやり切った後に『システム英単語』を覚える必要性があるかを確認する。

注)ここでの「収録」は、見出し語以外の派生語など「単語集の中に書かれていること」を意味する。

・手計算で数えていて多少の誤差はあるかもしれませんので、その旨ご了承ください。

★それぞれの問題を調査した時の写真を添付しています。色分けは下記のとおりです。

黄色の蛍光ペン→『システム英単語Basic』に収録されている

 注)下線のみ引いてある単語は、見出し語以外での収録

ピンクの蛍光ペン→『システム英単語』の第3~4章に収録されている

紫の蛍光ペン→収録されていない

薄緑の蛍光ペン→注釈がついている


2.同志社大学

①調査した問題:2021年度一般入試2/5実施分、大問1

②調査データ

 ・語彙数:940words

 ・カバー率:20.7%(195words)

 ・実質カバー率:95.3%

 ・『システム英単語』にしか収録されていない単語数:17語

 ・『システム英単語』にも収録されていない単語:27語(2.9%)

③所感

関関同立の中では最も難易度が高いといわれる同志社大学の問題であるが、単語の出題レベル的には『システム英単語Basic』で十分対応できるレベルであるといえる。設問で用いられている語彙は今回調査対象外としているが、私が視認した限りではこちらも『システム英単語Basic』で戦える問題である。同志社大学の問題の特徴として「下線部の意味・内容にもっとも近いものを次の1~4の中からそれぞれ一つ選びなさい」という問題が多いが、この問題を「単語を知っていれば解ける」と見るのはいささか分析が未熟であろう。下線部の意味が分からなければ前後の文脈から推測しないといけない。むろん、選択肢の単語の意味が分からなければできないので、そちらは覚えておく必要がある。


内容的に高度であるが故、語注が多いので適宜参照しながら読み進めるのがポイントになる。なお、例年大問1・2が長文読解で、大問3が会話文である。時間配分を誤ってしまうと致命的になるので、解く順番をあらかじめ決めておくのも一案である。また、最初の数文で長文内容が苦手な内容と感じた時には、他の大問から解くといった柔軟な対応をすることも考えてもいいかもしれない。


3.東洋大学

①調査した問題:2021年度一般入試2/1実施分、大問Ⅱ

②調査データ

 ・語彙数:570words

 ・カバー率:18.8%(107words)

 ・実質カバー率:97.5%

 ・『システム英単語』にしか収録されていない単語数:3語

 ・『システム英単語』にも収録されていない単語:11語(1.9%)

③所感

『システム英単語Basic』で十分に対応できるレベルである。収録されていない単語でも「simple-minded」のようにそれぞれの単語の意味が分かれば推測が容易であるものや、「untrained」「non-abstract」のようにun-やnon-などの接頭語の知識があれば対応ができるものがほとんどである(しかもabstractは語注が付いている!)。ここからわかるように『システム英単語』までやってしまうのは完全にオーバーワークになる。MARCHや関関同立志望者が東洋大学の問題を解いて語彙不足を感じる場合は、早急に『システム英単語Basic』レベルの語彙強化をしなければならない。


東洋大学の場合は大問Ⅰ・Ⅱが長文読解で、大問Ⅲ以降は比較的時間のかからない設問になっている。問題をいきなり解き始めるのではなく、問題全体に目を通していれば大問Ⅲ以降のほうが時間のかからない問題ということが分かるだろう。したがって、大問Ⅰ・Ⅱから解き始めて「時間が足らなかった」となってしまうのは作戦ミスになる。もちろん、試験本番で順番が変わることも考えれるが、冷静に文法問題から解き始める判断ができるようになってほしいところ。


4.法政大学

①調査した問題:2021年度一般入試2/5実施分、大問Ⅱ

②調査データ

 ・語彙数:568words

 ・カバー率:18.8%(124words)

 ・実質カバー率:94.7%

 ・『システム英単語』にしか収録されていない単語数:11語

 ・『システム英単語』にも収録されていない単語:19語(3.3%)

③所感

ついに本調査初のMARCHが登場。だが、法政大学の英語長文も『システム英単語Basic』で対応できるレベルだといえるだろう。収録されていない単語の中でも「market」関連が多かった。他にも「catalogues」「pressure」など日本語でもなじみのある単語が未収録として計上されているが、このレベルの長文読解の学習を進めていれば意味は分かって当然な単語である。そう考えると、語彙レベルで苦戦するような文章ではない。内容がジェンダー論で近年頻出のテーマであり、非常に読みやすい内容である。本文冒頭に「Children's Toys:Against Pink and Blue Branding」というタイトルがついているが、これを見ただけで本文のおおよその内容は推測できていてほしい(もちろん、それに囚われすぎてはならない)。英語長文だけではなく現代文においても論じられる内容であり、それぞれで背景知識まで学ぶ学習ができていれば、この大問は「お買い得」問題になるだろう。


試験時間が90分で長いため、集中力を切らさず読み進められるかどうかがポイントになるだろう。ずっと長文読解をし続けるのが辛い人は、文法問題を読解大問の間に解くのが一種の気分転換になるかもしれない。


5.まとめ

前回も述べたが、本調査はあくまで入試問題の中の一部分が対象であることは気を付けておく必要があります。他の大問や文法問題が出題されるケースは別個に考えておくほうがいいでしょう。ですが、同志社大学・東洋大学・法政大学の入試長文問題を読み進めるには『システム英単語Basic』で十分対応できるといえるでしょう。


言い換えれば、『システム英単語Basic』を完璧に仕上げているのにこれらの長文問題を読んでも内容が理解できないのであれば、それは単語力に問題があるのではありません。特に難しい熟語が出題されているわけでもないので、熟語に関しても考慮する必要はないでしょう。つまり、考えられる原因としては、

・前後の文脈から判断すべき単語を「知らない」から読めないと思っている (→推測する練習をしましょう)

・一文一文の構造がつかめていない (→構文・英文解釈力の強化が必要)

・段落ごとの意味がつかめていない (→長文読解力の強化が必要)

・内容の読み取りはできるが、問題が解けない (→演習量を増やそう)

など、単語力以外にあると考えるのが適当です。


また、法政大学のパートで述べたが、日ごろの長文読解の学習において、背景知識について知っておくことは有用であろう。特に難易度が高い大学の入試問題になればなるほど、英語長文で論じられるテーマが学術的になったり、抽象的な英文になったりすることが多い。最新のトレンドを扱う参考書も出版されています(例:『英語長文問題Solution』シリーズ)ので、過去問の前後にやり込みんでおき、どんなテーマが出題されても「このテーマ知ってる~♪」と思えるだけの勉強をして、入試当日を迎えられるようにしておきましょう。


もし高校2年生でお読みの方がいらっしゃれば、志望校の過去問で出題単語レベル調査を実際にやってみると、いかに単語集一冊を仕上げることが重要かが実感できると思うので、お試しくださいね。


最後までお読みいただき、ありがとうございました🦍


2022年1月10日月曜日

【システム英単語Basicの力】英単語カバー率調査をやってみた

 


こんにちは、皆さん。ゴリラ教育研究所です。

現在英単語集の教材調査をしているのですが、そのときにふと「基本レベルの単語集でどこまで戦えるのだろうか?」と思ったので、少し調査をしてみました。

英語学習といえば、最初は「単語・文法」で、そして「構文(英文解釈)」を学んだ後に「長文読解」や「英作文」という流れで進めていくのが一般的です。ですが、最初の「単語・文法」にハードルを感じる人もいるでしょう。最近は中学レベルの単語から収録されている単語集が依然と比べて増えてきた印象ですが、上位レベルの大学を目指す場合は「2冊目の単語集が必要だ!」と言われると思います。


これ、ホントですかね?

英語嫌いの皆さん、単語集を2冊やるのってどう思います?

「やってられません!」と思う人は、続きを読んでみてください。

(私は「単語集2冊もできるか!!!!!!」と思う人です)


1.調査について

①使用する単語集:『システム英単語Basic』(5訂版)

 注)『システム英単語』の第1・2章(1~1200)に対応しています。

②調査対象:大学入学共通テスト・近畿大学一般入試問題・関西大学一般入試問題

 →それぞれ長文問題から一題抜粋し、その長文中の単語が『システム英単語Basic』に収録されているかどうかを調べています。

③調査のルール

・『システム英単語Basic』に収録されている単語で「カバー率」を算出する。収録されているかどうかは索引に掲載されているかで判断することとする。

・未収録の単語のうち、長文中の固有名詞・明確に中学内容の単語(houseなど)や前置詞(duringなど)は、大学受験用の単語集を使って覚える単語ではないので、これらの単語は実質的に『システム英単語Basic』を覚えられた受験生では判断できると考え、これらの単語も覚えている単語とみなして「実質カバー率」を算出する。

・収録されていない単語のうち、『システム英単語』の第3章以降に収録されている単語と、全く収録されていない単語のそれぞれの割合を出し、『システム英単語Basic』をやり切った後に『システム英単語』を覚える必要性があるかを確認する。

注)ここでの「収録」は、見出し語以外の派生語など「単語集の中に書かれていること」を意味する。

・手計算で数えていて多少の誤差はあるかもしれませんので、その旨ご了承ください。

★それぞれの問題を調査した時の写真を添付しています。色分けは下記のとおりです。

黄色の蛍光ペン→『システム英単語Basic』に収録されている

 注)下線のみ引いてある単語は、見出し語以外での収録

ピンクの蛍光ペン→『システム英単語』の第3~4章に収録されている

紫の蛍光ペン→収録されていない


2.大学入学共通テスト

①調査した問題:2021年度大学入学共通テスト第一日程、第六問B

②調査データ

 ・語彙数:528words

 ・カバー率:26.2%(139words)

 ・実質カバー率:91.9%

 ・『システム英単語』にしか収録されていない単語数:3語

 ・『システム英単語』にも収録されていない単語:40語(7.6%)




③所感

『システム英単語Basic』で十分対応できる文章。収録されていない単語も、sweetenerやsweetnessなど「sweet」の意味から想像できる単語やcalories(カロリー)といったもので、この文章が「cake,candy,soft drinks」から始まることから容易に想像ができる単語。本文内容も身近なテーマであり、読みやすい部類の文章といえるだろう。


本文中に「banana🍌」が出てきて食べたくなったゾ🦍


3.近畿大学

①調査した問題:2021年度一般入試1/30分、大問Ⅶ

②調査データ

 ・語彙数:404words

 ・カバー率:24.5%(99words)

 ・実質カバー率:96.8%

 ・『システム英単語』にしか収録されていない単語数:6語

 ・『システム英単語』にも収録されていない単語:7語(1.7%)




③所感

こちらも『システム英単語Basic』で十分対応できる文章で、むしろ『システム英単語』までやってしまうのはオーバーワークともいえる。所々に難解な単語が出現するが、前後の分からの類推や深く気にせず読み進めることができるかがポイント。英語に苦手意識が強い人は特に一文一文の意味を取れないと「読めない!」と感じることが多いが、一文が分からなくても「次の文で分かればいいや!」と割り切る姿勢が大切になるだろう。


問1に「本文の第一段落の内容に…」と書かれてあるので、特に設問から見ておくことが重要になるタイプの問題ですね。長文問題の点数ウエイトが高いので、得点源にしたいところ。


4.関西大学

①調査した問題:2021年度一般入試2/1分、大問Ⅱ

②調査データ

 ・語彙数:920words

 ・カバー率:18.3%(168words)

 ・実質カバー率:97.7%

 ・『システム英単語』にしか収録されていない単語数:1語

 ・『システム英単語』にも収録されていない単語:20語(2.2%)






③所感

調査前に私が予想していた以上に『システム英単語Basic』で対応できる文章であった。語彙数が多く見えるが、固有名詞が多く、難度の高い語彙がたくさんあるわけではない。ただ、これまで見てきた文章よりかは長いので、時間勝負になるか。なお収録されていない単語といっても、middle-westernやindoors(これを中学内容と換算するかは悩んだが、今回は中学内容としていない)といった単語やmiddle-class(中流階級)など演習を積んでいれば対応できるだけの語彙であるため、この文章を読んで「単語が分からない…」という関大志望生は少し厳しいと言わざるを得ない。


固有名詞がたくさん出てくる文章が苦手な人は、固有名詞を□で囲むなどして視覚的に整理するだけでも読みやすさが変わりますよ。


5.まとめ

今回の調査はあくまで入試問題の中の一部分が対象であることは気を付けておく必要があります。他の大問や文法問題が出題されるケースは別個に考えておくほうがいいでしょう。ですが、共通テスト・近畿大学・関西大学の入試長文問題を読み進めるには『システム英単語Basic』で十分対応できるといえるでしょう。


言い換えれば、『システム英単語Basic』を完璧に仕上げているのにこれらの長文問題を読んでも内容が理解できないのであれば、それは単語力に問題があるのではありません。特に難しい熟語が出題されているわけでもないので、熟語に関しても考慮する必要はないでしょう。つまり、考えられる原因としては、

・前後の文脈から判断すべき単語を「知らない」から読めないと思っている (→推測する練習をしましょう)

・一文一文の構造がつかめていない (→構文・英文解釈力の強化が必要)

・段落ごとの意味がつかめていない (→長文読解力の強化が必要)

・内容の読み取りはできるが、問題が解けない (→演習量を増やそう)

など、単語力以外にあると考えるのが適当です。


私が大学入試の英語の過去問を指導してきて、生徒さんに自分の解いた過去問を分析してもらうと、必ず「単語を覚えていなかったからできなかった」という話が出てきます。でもその単語、本当に覚えておかないといけない単語ですかね?もし単語を全部読めていたら、すべての問題が解けるんですかね?今一度問い直してみましょう。


特にもうすぐ受験という人で、近畿大学や関西大学が第一志望の人や英語が試験科目なのが共通テストのみの人は、『システム英単語Basic』かそれに準じたレベルの単語集を徹底することをおすすめします。(『システム英単語』を持っている人なら第2章までを完璧にしておくことですね。)


もちろん、より出題される英文の難易度がより高くなる大学(例:早慶)では、基本レベルの単語集では太刀打ちできませんので、語彙数を増やさなければならないことは言うまでもありません。


受験までに時間があるならば、自分の志望校の入試問題を分析して「本当に必要な単語集のレベル」を見つけるのもよいかもしれませんね。ただ、思っている以上に時間がかかりますので、それだけは注意してください。


最後までお読みいただき、ありがとうございました🦍

🔰最初に手に取る参考書vol.3~英文解釈編~

こんにちは、皆さん。 投稿の更新ペースが遅すぎて存在が忘れられているであろうゴリラです。  さあ、何も気にせず「最初に手に取る参考書」シリーズの第三弾いきますよ! (第一弾:文法、第二弾:単語もよかったら見てね) このシリーズのコンセプトは、 勉強は苦手だけど受験勉強を始めたいと...